ヨット界の衰退を考える

ヨット界の衰退を数字で考える

ヨット界の最盛期は1993年のバブルまでです。
ヨット台数は13000隻と言われていますが、登録台数によるデータですから船検データか?

新艇販売台数はディンギーも含めて最盛期は年5000隻。バブルの頃です。今は年200隻くらい。

FRP製ヨットは40年、50年でも持ちますから、台数そのものは簡単には減りません。中古艇として何人もの所有者の手に渡っていきます。ただ、ちゃんと使われているかどうかは別問題です。

販売台数はやはり経済情勢に左右されます。バブル崩壊後どんどん下がって行って、リーマンショックで大きく下がります。

ヨット衰退の社会的背景

  • 映画や堀江氏、鹿島氏などの太平洋横断、サーファー音楽などアメリカンカルチュアでワーっと盛り上がったブームだがバブル崩壊で急速にしぼんだ
  • 各人の楽しみ方ができてないまま、つまり遊びとして成熟していない
  • 若者人口の半減減少
  • スマホ、ゲームなどへ若者の嗜好変化
  • 臨海学校やめるなど海、自然への体験きっかけが減る

ヨットを無くしたい役所の姿勢

それに輪をかけて
2011年の東日本震災津波被害以降の問題

それまで、都市近郊の水深のある岸や海岸線は管理係留(不法も含め)ヨットやプレジャーボートで埋め尽くされていました。

↑大阪府貝塚市コスタミラ浜(震災前)

お金がものすごくかかる民間ハーバーに留めなくても自分達の自主管理で安くヨットを持てました。

ところが東日本震災津波被害の後、このような映像が再三紹介され二次被害と言われるようになりました。

ヨットに限らず、大きな商船や漁船でも事情は同じはずです。ただ、管理(不法)係留のヨットにだけ厳しく問題視されました。

全国の県、府単位で管理(不法)係留のヨットの強制撤去が実施されるようになりました。二次災害防止だとか堤防整備という名目です。
新西宮ハーバー開設時のように救済処置や安い代替ハーバーへの優先移転など無しです。

近隣の民間ハーバーの空情報、A4の紙渡されて(高いお金払って)そこに入れなさい・・・というやり方です。

日本の海では漁業協同組合が強い発言権を持ち漁業権だとか定置網だとか、ヨットに強い反発を持っています。

根は「遊びで俺らの海を好きに走り荒すな」という反発で、漁民の心情は理解できるにしても役所も同じ発想を持っているようです。
「遊んでいるヤツらのために俺らが面倒な思いするのはごめんだ」

この「締め出し」以降、より安く置ける公営ハーバー探して車で2時間3時間かけて行かなくてはならなくなりました。

ヨットはよほど好きでお金があるやつしか持てない

という状況になり、ますますヨット文化は衰退しているのです。

以上は主にクルーザーと呼ばれる、固定キール艇の話です。

5m以下のセンターボード艇という選択肢も考えて下さい。また違った遊び、楽しみ方があります。

臨海学校そのもの、日本伝統の遠泳も危険が多いとか、学校側に負担だとかで廃止されてゆき、ヨットも締め出し海洋国家を国是とする機運はどうなった

ヨット業界人の儲け主義

固定キールヨットは3m以上の水深が必要でハーバー作るにもお金かかるし維持費も高額になります。だから本来そんなに売れる訳は無いのですが、1990年代まではバブルで浮かれていたしハーバー置きユーザがサイズアップ買い替え、その中古艇が管理(不法)係留ユーザーにという図式もでき回っていました。

YAMAHAなどメーカーはクイックレスポンスで新艇をどんどん出し、売れなければすぐ止めという販売モデルをやっていました。

将来的に日本のヨット文化をどうするのか、というビジョンは1mmもありません。

広告や販売員があおって、より高いもの、よりグレードの高いもの、結果的に売れるものをドンドン売る・・・主義です。
ヨットが売れなけば釣り船、モータボートがあるさ。

可動キール、収納センターボード艇を拡めるべきだった

必ず置場の問題が伴うので、深い水深がなくてもスロープさえあればハーバーが作れるワンデザイン可動キール(リフティングキール)艇をハーバーと一緒になって広めるべきでした。どこの漁港にもスロープはあるので、漁港・漁連のサイドビジネスとして開拓すればいいのです。

浅い水域でハーバーが作れるメリットはものすごく大きい

高校、大学でヨット部だったOBも取り込めるしクルーザ派にも面白いのです。

ハーバーセイルアウト(エンジン積まない)派にも抵抗なく楽しめて、このクラスであっても免許も船検も要らないのだからヨット持つ敷居がものすごく低くなります。

参照⇒楽しめるヨット=5mプレジャーディンギー

琵琶湖のRIVREハーバーは良い事例になります。

フネの中で寝泊まりできるヨットが欲しいな、」という話をよく聞きます。

仮にそういうヨットを持ったとして、最初の頃は月1~2回でもハーバーに通うのですが、ずーっとその状態が続くヨットマンは1割くらいです。

自分にとってヨット趣味とは何をやりたいのか、よく考えて、それに伴うお金・労力・手間(⇒ )とのバランスで判断した方がいいのです。
参考⇒ヨットの趣味タイプ

5m以下のセンターボード艇、プレジャーヨットという選択肢もぜひ考慮して下さい。

  • 3mならエンジン付けても免許、船検も要らない
  • 初心者でも乗れる船もある
  • オール、櫓という多様な楽しみ方がある
  • マスト外して釣り船としても最適
    └→クルーザには無理

他人の話は聞かないで、自分の心の声を内観して下さい。

 

<<関連記事>>

ヨット業界、バブル崩壊とともに衰退
ヨット界の衰退を考える2
ヨットの楽しみを拡げよう

<=TOPへ